山の中を駆け抜けるツーリング。
絶景と引き換えに、時折ひやりとさせられるのが「動物の飛び出し」です。特に北海道や東北など、自然豊かなエリアを走るライダーにとって、これは命に関わるリスクにもなり得ます。
今回は、実際に鹿と接触した経験をもとに、「鹿笛(しかぶえ)」の効果や使い方、選び方、そして取付時の悩みどころまで、実体験を交えて紹介してみようと思います。
- 北海道や東北、山間部へツーリングに行く予定の人
- 夜明け・夕方に山道を走ることが多い人
- 一度でも「鹿が飛び出してきてヒヤッとした」経験がある人
なぜ鹿笛を使おうと思ったか?
実は25年前、とある山道で真横から飛び出してきた鹿をはねた経験があります。
幸いにも自分もバイクも大きなダメージはありませんでしたが、もしもう少しスピードとタイミングが違っていたら…そう考えるとゾッとします。
あとは北海道でも。
こちらは衝突には至りませんでしたが、北海道では実際に、鹿との衝突で大ケガや最悪死亡事故に繋がるケースも報告されています。
そんな経験から、ツーリング先で「命を守る装備」のひとつとして、鹿笛は検討しても良いのではないかと考えるようになりました。
■ 鹿笛ってなに?2個で使う理由
鹿笛とは、走行風を利用して高周波音を発生させる、いわば“動物用の警笛”です。
人間の耳にはほとんど聞こえませんが、鹿や他の野生動物には「何か来るぞ」という警戒音として届くらしいです。
大抵の商品は2個セットで販売されており、それぞれ微妙に異なる音を出すため、広範囲・多種の動物に反応を促せるようになっています。車両の左右に1個ずつ取り付けるのが基本です。
■ 今回買ったのはクレトム製
自分が選んだのは、Amazonで販売されているクレトムの鹿笛。

価格は2個セットで1,700円前後。
これより安い商品もたくさんありますが、中には3Dプリンターで複製されたようなものもあるかもしれません。
個人的には「高いから安全、安いからダメ」とは一概に言えないとは思いますが、レビューを参考にして選ぶのが良さそうです。
そもそも鹿はいつ飛び出してくるのか?
シカ(ニホンジカ)は基本的に「薄明薄暮性(はくめいはくぼせい)」、つまり早朝と夕方〜夜に活発に行動する生き物です。
時間帯 | 行動傾向 | バイクでのリスク |
---|---|---|
🌄 早朝(4〜7時) | 採食のため活発に動く | 山間部で道路に出てくるリスク高 |
🌇 夕方〜夜(17〜22時) | 活動量が増える | 視界が悪く事故の危険大 |
☀️ 日中(10〜15時) | 休息していることが多い | 遭遇率は比較的低い |
この時間帯は人間の視界も悪く、ツーリング中の動物との接触事故が非常に起こりやすい要注意タイムでもあります。
そうかといって私の二度の経験はどちらも日中。
なので日中しか走らない場合でも山間部では油断できないし、そういう意味でも鹿笛は予防的に役に立つ可能性は十分にあると思います。
■ ネイキッドバイクへの取り付けに一苦労

鹿笛の取り付け自体は簡単で、電源も不要。両面テープで貼るだけでOKです。
ただし、角度を30度以内にしないといけないなど、ただ付いていればいいというものでもなさそう。
カウル付きのバイクならカウルの裏側や見えにくい場所に取り付けることもできそうですが、ネイキッドバイクやアメリカンタイプでは、「どこに貼るか」が意外と悩みどころです。
自分はフロントフォーク内側のオイルクーラーに貼り付けてみました。

多少目立たない位置で、風も当たりやすく、実用性とのバランスも悪くないと思います。
■ まとめ:命を守る選択肢のひとつとして
もちろん、鹿笛が絶対に効果がある!とは言い切れません。
ですが、「何もつけていない状態」と比べて、鹿にこちらの存在を知らせる“きっかけ”を与えるという意味では、十分検討に値するアイテムだと感じました。
価格も手頃で、電源不要。取り付けも簡単。万が一を考えるなら、つけておいて損はないはずです。