過去記事を修正して再投稿してます。自分にとってこのツーリングのスタートが今のバイクライフの原点なのかもしれません。
大型二輪免許を取って、初めて迎えたゴールデンウィーク。ちょうど事前に休みが確保できそうだったこともあり、「九州ソロツーリング」を決行することにした。
きっかけは単純だった。
あれは26歳の春、人間不信に陥ったのが発端だった。
当時付き合っていた彼女と別れた後、どうやら彼女が周囲に事実とは異なる話を広めていたらしい。気づけば、自分は悪者になっていた。弁解はした。でも「そうだったん?でも元カノが言っていたから」という理由で自分が言うことは信じてもらえず、仲が良かったつもりだった友人たちまでもが離れていった。
信じてもらえなかった自分にも原因があったのだろうけど、あんなもんは先に聞いた話が真実になってしまって後からどんなに説明しても理解してもらえることは少ないわけだけど、あの手のひら返しみたいなのはやっぱり辛かったかな。
それ以来彼らとも音信不通だし、今となってはもうどうでもいいことだけど、。
そういう出来事があって浮かんだのが「一人で家で過ごすゴールデンウィークもなんだし、一人旅でもしてみるか」という気持ちだった。
当時つるんでいた大学生の仲間に九州の情報を聞きまわった。けれど、出発まで2週間という短い準備期間と、スマホはおろかインターネットがまだ常時接続が当たり前ではなかった時代ということもあり、情報収集は思うようにいかなかった。
とりあえず、旅の目的はシンプルに「九州全県走破」と「阿蘇山、佐多岬」で3泊4日という計画とした。
今思えばかなり行き当たりばったりだったけれど、それで十分満足だった。
宿泊は基本キャンプ。知り合いからテントを借り、寝袋は昔ボーイスカウトで慣れ親しんだものを引っ張り出した。キャンプには何の抵抗もなかった。
そしてこのとき初めて「ツーリングマップル」というものの存在を知り、即購入。旅のお供に加わった。
相棒は純正シルバーのXJR1200。

出発は5月2日の夕方。もともとは3日に出る予定だったが、熊本の友人が結婚を控えていて、その彼女を両親に紹介した帰りに福岡の友人宅に寄るという話を聞いて、急遽一日繰り上げた。
結果的に、この出発の前倒しが後の旅にとって大正解だった。
仕事を終え、帰宅してすぐ着替え、準備万端で出発。……のつもりだったが、燃料を入れたりしているうちに結局遅くなってしまった。
しかも途中から雨。
夜、雨、高速、寒さ――まさに四重苦。
5月とは思えない寒さに震えながら、バイクにとって雨天への備えや防寒対策はやはり大事だと思った。
福岡に着いたのは夜9時頃。すでに外食に出ていた友人たちと合流すべくキャナルシティへ。彼らは大学時代、ともにバイクで走った仲間。今はもうバイクを降りてしまったけれど、あのときの時間は今も心に残っている。
思い出話に花を咲かせながら、酒を酌み交わす。深酒した記憶はないけれど、正直その夜の記憶はあまり残っていない。結構飲んだのかもしれない。
ひとつだけ強く印象に残っているのは、友人の彼女が先に眠ってしまったとき、ぽつりと話した福岡の友人の母親が言った言葉。
「相手の親に挨拶して、きっと疲れてるんだろうね」
そして翌朝。
前日の雨が嘘のような、気持ちのいい快晴。
見送ってくれた友人たちに手を振りながら、いよいよ本格的な九州ツーリングが始まった。
